僕と少女と殺人現場

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「起きなさい!」 けたたましい目覚ましの合図が、布団に包まれた僕の頭を呼び起こす。 何度も頭を小突く母の声に、「分かってる」と吐き捨ててゆっくりと身を起こす。 当然のように食卓に並んでいる朝食。食パンをひとかじりして「もういらない」と家を出る。 「そんなんじゃお腹すくわよヒロキー!朝はきちんと食べなさい!」と、背中に説教を受けながらアスファルトの通学路を進む。 いつも通りの、騒がしい朝。 「ったく……いっつもうるさいなぁ」 ぶつぶつと呟きながら寝癖をくしゃくしゃと直す。最近特に母さんに対する苛立ちが増してきている。これが反抗期というやつか。 いつも僕に世話を焼いてくれる母さんには悪いなと思いつつも、その世話が鬱陶しい。自分で出来るのに、なんて考えてはみても、結局母さんに助けてもらっている自己嫌悪も苛立ちの原因だ。 中学二年生にもなったんだから、もう少し僕を模倣してほしい。愚痴はあまり好きな方ではないが、この気持ちは口に出さないと体の中で腐って固くこびりついてしまいそうで、友達にさりげなく吐き出している。 「おい、"アリシア"がまた人を殺ったらしいぞ」 学校に着くと、友達がまた同じ噂話をしていた。ここ最近ずっと"アリシア"と呼ばれる女性の話題でもちきりだ。聞いた話によると、ここ最近起きているお年寄りの毒殺事件やホームレス殺人事件も彼女の仕業だという。
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