僕と少女と殺人現場

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弱者を殺める殺人鬼として世間からは忌み嫌われているが、一部の間ではその魔性と神秘性、そして誰も彼女の姿見たことがないことから人気を博していたりもする。 ネット上では「アリシア描いてみた」などの二次元作品が投稿されているくらいの有名人だ。 昨日の新聞の一面に載っていたが、名前は菅原 有紗(すがわら ありさ)というそうだ。警察の調べによると、ほぼ確定らしい。ただ彼女は住所を持たず、年齢不詳で手がかりとなる写真も無いため、捜査は難航しているという。 しかし僕は、まさかこの比較的田舎の土地にまで足を運んだりしまい、と高を括っていた。事件が起きているのは隣の県だったが。 「ヒロキ!お前もアリシアトークしようぜ!」 キラキラとした目で僕を勧誘しに来た短髪の男友達。どうしてこうもこの中学二年生という微妙な年齢は、こぞってミステリアスな出来事が好きなのだろう。 机に置いた鞄から教科書を取りだし終えた僕は、手のひらを友達に見せ、出来る限りの涼しい笑顔を作った。そして、きっぱりとこう言った。 「ごめん、興味ないんだ、誘ってくれてありがとう」 どうにか僕は他の中学二年生よりも大人であるというポジションを貫きたかった。 それに僕が会話に混ざってしまったら、昨日ネットで得た莫大な情報で彼らの夢を壊してしまいそうだったので、ここは控えておくことにした。 「なんだよノリ悪ぃなあ…………んじゃ!」 彼はまた楽しそうにアリシアトークの輪の中に入っていった。 「ふうっ……」 興味ないなんてのは、れっきとしたウソである。本当に興味がないのなら、父の形見であるノートパソコンを押入れから掘り出してまで、彼女のことを調べたりしない。
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