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何だか辺りが騒がしい。うっすらと目を開けてみるが、広がる景色は星空のままだ。僕が眠りについてからそう経っていない。
野良猫でも騒いでいるのか。
再び瞼を閉じるが、どうも甲高い声が耳に響く。不快に気持ちを煽られ、眠れない。
──ヤメテ!
……?女の声だ。
──タスケテ!ヒロキ!
僕の名前を、確かに呼んだ。この声はかあさんじゃなくて……
「アリシ……」
ガバッと体を起こす。暗くてよく見えないが、僕のほんの数メートル先で誰かが揉めている。それも、五人はいる。
「おいおい暴れるなって」
「お兄さんたちは怪しい人じゃないから」
「こいつなかなか力強いな、俺たち三人がかりでやっとかよ」
口々に聞こえてくる野蛮な声。何だ。何が起こっている。僕の目の前で何が……
「ヒロキ!助けてくれ!」
!!
アリシアだ。目の前に確かにいる。男たちに揉まれ、その中にアリシアがいるのだ。
「いやーこんなガキにキョーミあんのお前」
「たまにはいんじゃねーの?こういうのも。家出少女とかだったら連れて帰ってゆっくり遊んでやろうぜ」
「もう遊んでんじゃねえか。あんまり激しくやるなよ、キズモノにはしたくねえ」
視界が完全に明瞭になった。そこには、数人の男たちに捕らえられようとしている露な姿のアリシアがいた。
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