僕と少女と新聞記者

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3……2……1…… ジャッと地を蹴って、一番アリシアに密着している男に飛びかかる。その勢いを殺さぬまま、石で思い切り頬を殴った。 「ぐほぁ!?」 何が起こったか分からない男は、すっとんきょうな悲鳴を上げた。数は多い。反撃をされないうちに、右のアリシア背後にいた男にこれまた石を打ち付ける。 反転して、ポケットから取り出した石を後ろの男二人の顔面に向かって投げた。片方はクリーンヒットしたが、もう片方の男には避けられてしまった。 ──ヤバイ、対応されてきてる! 反転した体をもう一度回して、今度はアリシアの正面に立った。そのままアリシアの体を抱えて、僕は前方へ走り出した。 「うあああああああ!」 声を張り上げて逃げるが、所詮中学二年生の小さな体だ。人一人を抱えて走るには、全く向いていない。 「残念だったな、ガキ」 呆気なく頭を掴まれ、僕は男たちの輪の中心に放り込まれた。 「あの子の兄ちゃんか?せっかく楽しんでたのに、邪魔しないでくれるかな?」 ブン、と一殴り。それだけで僕の体は無惨に宙を舞った。 ああ……やっぱり僕は足手まといなんだ。 「ヒロキ!」 地面の石つぶたちが背中を刺してくる。物理的な痛みというより、アリシアを助けられなかった心の方が痛かった。
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