僕と少女と新聞記者

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「待ちやがれ!ガキの分際で調子に乗るな!俺たちに勝てるとでも思ってんのかァ!? 欲望に犯された、無慈悲な言葉が僕らに浴びせられる。関係ない。逃げたものが勝ちだ。 バシャバシャと足で水を弾いた。そのまま向こうの壁を目指して走る。背後で盛大な水の音がした。男たちがまんまと水の中に入ったのだ。 だんだんと底に足がつかなくなってきた。僕は移動を平泳ぎに切り替えて、前方を華麗に泳ぐアリシアに付いていった。 追い付かれるかと思ったが、予想以上に男たちは重く、水に囚われていた。 ついにコンクリート固めの壁にたどり着いた。ここを登れそうにはない。しかし、そんなことは想定済みだ。 「おいお前ら!全員で囲むぞ!」 しめた、と思った。もし一人でも岸辺に残られたら作戦が失敗に終わるところだった。しかし彼らはまんまと、僕の、僕らの罠に引っ掛かった。 隣にはアリシア。前方には、半円を描いて迫り来る男たち。 「さあ……もう逃げられねえ。大人しくしてりゃあわるさはしねえよ」 アリシアと横目でお互いの意思を確認しあう。ここまで来て、アリシアは僕の意図が掴めたらしい。さすがだ。彼女なら分かってくれると思ってた。 「残念だったな……さ、大人しく……」 「今だアリシア!」 僕とアリシアは男たちの腰の間を目掛けて跳んだ。完全に虚を突かれたであろう男たちは、僕たちを捕まえることは出来なかった。そのまま岸目掛けて全力で泳ぐ。金ヅチじゃなくて良かったと、心底思う。 岸辺に上がり、男たちの罵声を浴びながら芝生の坂をかけ上がる。この声の大きさからして、彼らは水に足を取られて思うように動けていない。 僕たちの作戦は──成功したのだ。
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