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「くっそおおおおおおおおお!!」
行き場の無い気持ちが、声となって町中に響き渡る。取り残された一匹狼の、情けない遠吠えだ。
「キミ……だいじょぶ?何かあったの?家でも追い出されたの?」
目の前にひょろりと立つ人の姿があった。ニット帽を被り、カメラを首に掛け、少々異質ともいえる風貌の男が、もの不思議そうに僕に質問を浴びせた。
「えーっと……まずいな俺子供の扱いとか苦手なんだよな……」
心の声が漏れている。この男が誰であろうがどうでもいい。僕は無視してこの場を去るつもりだった。
「というかもしかしてキミ、"アリシア"のお連れさん?」
僕が今一番欲しているその言葉さえ聞かなければ。
「何故……それを?」
僕はバカだ。僕がアリシアに同行していたことを認めれば、メディアはたちまち僕から根こそぎ情報を聞き出そうとするだろう。もし僕がそこで少しでもボロを出してしまえば、アリシアを追い詰めてしまいかねない。
「女の人から聞いたんだよ。ちょうど数日前に上方を知ってる、っていう女の人がいてね。それはそれは美人で、最初は僕も嘘なんじゃないかと思ってたけど、なんと彼女はアリシアの顔写真まで取り出すもんだから」
やっぱり、アリシアの情報を提供したのはその女なのか。
「それでその時、ついでに連れの男の子がいると聞いたからさ。片っ端から男の子に声をかけて、キミに至った次第さ」
片っ端から声をかけるなんて、そこまでしてアリシアの情報が欲しいのだろうか。もしかすると、この男はどうしても情報を手に入れたい境遇にでもあるのだろうか。
「おっと、自己紹介が遅れたね」
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