6.おにたか篇(前半)

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「出血多量で動けなくなる前に、自分の部屋へ帰った方がいいのでは?」 隣にいる薫が俺様の方を見て、嘲笑うように言ってきた。 「はっ、薫こそ今すぐ帰ることを勧めるぜ? お前の着ている服、赤い染みだらけじゃねぇか」 特に上の方が集中的にな。 「これはこういうファッションです。 まるで本物の染みの様なリアリティーを追求したので、龍二ごときが分からないのも無理はありませんが」 「そうか…知らなかったぜ… お前の目と脳ミソがそこまで衰退していたとはな… もっと早く気付いてやれれば助けられたかもしれねぇのに…実に残念だ」 欠片も思ってねぇけどな。手遅れなら仕方がない。 「御心配なさらず。私は至って健康ですので。 けれど私も知りませんでした。 龍二の考察力と想像力がこれほどまで低くなっているとは… そのレベルでは家業を継ぐなど難しいでしょう…天様院家も終わりですね」 「それこそいらねぇ心配だな。 俺様ほどのカリスマ性があれば、有能な人材が黙ってても寄ってくるんだよ。 自分の足りないところは他人で補えばいい」 「自分がバカ過ぎて、その有能な人材達に乗っ取られてしまわないようにご注意を。 …っと、龍二なんかに構っているほど暇じゃありませんでした」 薫はそう言うとモニターに視線を戻した。 くそ…薫のやつ好き勝手言いやがって…! 何となく負けた感じがする…わけねぇな。俺様だしな。
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