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「出血多量で動けなくなる前に、自分の部屋へ帰った方がいいのでは?」
隣にいる薫が俺様の方を見て、嘲笑うように言ってきた。
「はっ、薫こそ今すぐ帰ることを勧めるぜ?
お前の着ている服、赤い染みだらけじゃねぇか」
特に上の方が集中的にな。
「これはこういうファッションです。
まるで本物の染みの様なリアリティーを追求したので、龍二ごときが分からないのも無理はありませんが」
「そうか…知らなかったぜ…
お前の目と脳ミソがそこまで衰退していたとはな…
もっと早く気付いてやれれば助けられたかもしれねぇのに…実に残念だ」
欠片も思ってねぇけどな。手遅れなら仕方がない。
「御心配なさらず。私は至って健康ですので。
けれど私も知りませんでした。
龍二の考察力と想像力がこれほどまで低くなっているとは…
そのレベルでは家業を継ぐなど難しいでしょう…天様院家も終わりですね」
「それこそいらねぇ心配だな。
俺様ほどのカリスマ性があれば、有能な人材が黙ってても寄ってくるんだよ。
自分の足りないところは他人で補えばいい」
「自分がバカ過ぎて、その有能な人材達に乗っ取られてしまわないようにご注意を。
…っと、龍二なんかに構っているほど暇じゃありませんでした」
薫はそう言うとモニターに視線を戻した。
くそ…薫のやつ好き勝手言いやがって…!
何となく負けた感じがする…わけねぇな。俺様だしな。
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