2583人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
─ジジジ…ジジ…
真っ暗だったモニターに突然光が点き、明るくなった。
俺様は薫が直し終わったのだと思ってその画面を見た。
だがそこに遊の姿はなく、代わりにあったのは1つのエンブレム。
草のような、枝のようなもので囲まれた円の中に、人をバカにしている様子の黒い鳥。
このエンブレムを使っているやつは俺様の知る限りただ1人だ。
─情報屋『鴉』
性別不明。
年齢不明。
何から何まで分かっていない謎のやつだ。
夜になるとたまにこの辺の地域に現れるが、実際にはどこに住んでいるのかも知られていない。
特に1年くらい前から全く見なくなったと思っていたのだが…
まさかこんなところに出てくるとはな…
…じゃねぇよ!
鴉が今頃ノコノコと現れようがそんなもんはどうでもいい!!
早く画面を戻せ!
遊の裸を見せろ!!
「なぜあの鴉がここに出てきたのでしょう…まさか、この学園にいるのではないですか?」
薫が少し動揺しながら言った。
薫だけじゃない。
晴や雨、隆司も動揺しているようだ。
まぁ無理もない。
俺様もまさか鴉がこんな身近に潜んでいるとは思いもしなかったからな。
だが今まで自分から接触してこなかったやつが、どうしてこんなことをしているんだ…?
こんな所で自分のエンブレムなど出したら、居場所をばらしているようなものだ。
何せここは元無人島。
この島以外のところからだと圏外で、電波は届かない。
つまり今ハイジャックもどきをしている鴉は、この島内からやっていることになる。
一般客のいない、貸し切り状態のこの島にいられるのは、この学園の生徒か先生しかいない。
そうなると、大分限られてくる。
鴉はそんなことにも気付かないバカだったのか…?
それともこうも簡単に真相まで近づける俺様が天才過ぎるのか…?
どちらにせよ…だ。
俺様は遊の裸がはやく見たいんだよ!!
さっさとそこどけバ鴉!!
最初のコメントを投稿しよう!