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──その夜─…
『もしもし?』
「姉ちゃん?オレなんだけどさ。」
『オレオレ詐欺は受け付けないわよ』
「いや、違うから!
オレだよ、遊!」
『あら、遊ちゃん久しぶり~
どうしたの?』
「いや、大した用じゃないんだけどさ、一応報告しとこうと思って」
『まさか…彼氏ができたとか…!?』
「ちげーよ!オレはノンケだっつーの!!」
『じゃあなによ~?はやく言って』
「何か…明日転校生がくるらしい…よ?」
『転校生っ!?本当にっ!!?
王道展開ktkr!!』
「ね、姉ちゃん?急に叫びだしてどうしたんだよ…?」
『ごほん…
遊ちゃん、貴方はこれから常に写メを撮れるようにしなさい。
録画も必要になると思うわ。
そしてその転校生を見張り続けなさい。いいわね?』
「は?え?どういうことだよ?」
『これから貴方は私の情報源になるということよ。
その転校生が抱き締められたり、キスされたり、とにかく萌えを感じる場面に遭遇したら迷わず撮りなさい。これは命令よ。』
「命令って…
しかも萌えってなんだよ?」
『それは直に貴方も分かるようになるわ。それよりも遊ちゃん、貴方には最低限の王道の行動パターンを知ってもらわなくてはいけないわ。
でもここで一から話してる時間はないの。そこで、貴方が持っていった漫画の中にある本を紛れさせておいたわ。それを全て頭に叩き込みなさい。』
「ちょ、何勝手なことしてんだよ…
えっと…?これか…?
"ベーコンレタスの極意"って…
オレ料理人になりたいわけじゃないんだけど…」
『そう、それよ。
明日までに覚えなさい、いいわね?
あと、明日は早起きして門で待つこと。そして、転校生と副会長の絡みを全て録画しなさい。』
「明日までなんて無理だろ…
ってか、何で副会長が迎えに行くこと知ってんだよ!?」
『それもその本を見ればすぐに分かるわ。常識だもの。
それじゃ、遊ちゃん期待してるからね。』
「え、ちょ、姉ちゃん?!」
……切りやがった…
時間を確認する。
って、もう3時じゃん!
やべぇ!急いで覚えねーと!!
パラパラとページを開き、太字になっているところを確認していく。
こうして夜が明け、
朝になったのであった…
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