第1章

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「そうか・・・あの時俺は死んだのか」 「でもなぜ一緒に死んだはずの凛がいないんだ・・・」 そう口にすると、どこからか声が聞こえてきた。 「それはお前がこの世界にくるべき存在だからだ」 どこから聞こえてきている声かもわからない。だが叶は必死に問う。 「誰だ!なんで俺はこんなとこにいる!?教えてくれ!」 叶の声が届いたのか、謎の声が答える。 「今いる道をまっすぐ進んだ場所にお前が知りたがっていることの答えがある」 そう告げると声は聞こえなくなった。 ここがどこかわからない以上、従うしかなかった。 「今いる道まっすぐに進む・・・行ってみるしかない・・・」 叶はその道をひたすら歩いた。 道中には何もなく、人は一人もいない。 叶はひたすら歩いた。ひたすら・・・ひたすら・・・。 するとひらけた場所に出た。 そこには町が広がっていたが、人の姿は確認できない。 だが、町の真ん中にある闘技場らしきものから人の歓声が聞こえてきた。 「ここは一体なんなんだ・・・?」 後ろから声が聞こえた。 ふと振り返ると同い年くらいの男がそこに立っていた。 叶が答える。 「わからない・・・俺も今きたばかりなんだ」 もしかして、と思いその男に尋ねてみる。 「まさかお前も死んだのか??」 すると男は暗い顔をして答えた。 「うん・・・そうみたいなんだ」 叶はその言葉を聞いてやはりここは死後の世界なんだと改めて知る。 「一緒だな!俺も死んだみたいなんだ」 「俺の名前は叶(かなた)!お前の名前は?」 そう叶が聞くと。 「僕の名前は・・・あれ・・・?」 男は自分の名前が思い出せないのかすこし混乱していた。 叶は問う。 「どうした?まさか記憶がないのか?」 男は混乱しながらも叶斗の問いに答えた。 「わからない・・・でも死んだことは覚えているんだ・・・」 男には記憶がないことがわかった。 「どう呼べばいいんだ・・・?」 叶は男に問いかけると。 「好きなように呼んでくれ」 叶は困った表情を浮かべ男に言った。 「そうだ!あだ名を付けよう!そうだな・・・空なんてどう!?」 男は笑みを浮かべて叶斗に言った。 「空か・・・いいねそれ!気に入った!」 「これからどうするか・・・」 空はボソッと言う。 その言葉で叶はさっきの言葉を思い出す。 「今いる道をまっすぐ進んだ場所にお前が知りたがっていることの答えがある」
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