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叶が言うと空も反応した。
「それ僕もさっき聞いたんだ。どこからか聞こえて・・・」
それなら話は早いと思った叶斗が言った。
「じゃあまずは町に行ってみよう。何かわかるかもしれない」
「そうだね。そうしよう」
空もそう言い二人は町に向かった。
*
町に着いたはいいが二人は目を疑った。
そこには二人のような人々で溢れていた。
「一体ここは・・・」
叶がこう言うと空が異変に気づく。
「これは本当に死んだ後の世界なのかな・・・?それにしては人が少なすぎる」
確かに叶と一緒に死んだはずの凛もいない。もしかしてここは何か特別な世界なんじゃないかと叶は思い始める。
「中央にある闘技場に向かっているみたいだ。僕たちも行こう」
そう空が言うと二人は闘技場に向かって歩いた。
町に人はほとんどいなく閑散としていた。
闘技場が近くなってくるとだんだん歓声のような声が聞こえてくる。
「ここでは何が行われているんだ」
そう疑問に思った叶斗は辺りを見回してみる。そこには目立つように置かれていた看板が置かれていた。
その看板には闘技場の中に入ってくるよう指示が書かれていた。
その指示に従い二人は闘技場の中に入っていく。それにつられて周辺にいた人たちも。
入ったとたんすごい歓声が二人を包んだ。
「な、なんだこれは!?すごい人の量だ!」
叶が少し興奮しているのをよそに空は黙ってステージの上を見ていた。
ステージに一人の男が現れる。その男が話しだすと先ほどまでの歓声がぴたりと止んだ。
「みなさんこんにちは。ここかどこかもわからない方が多いでしょう」
この声を聞いたとたん二人は顔を合わせた。
なぜならここへと導いたあの謎の声の持ち主がステージに立っている男なのだ。
男は話を進める。
「はっきり言いましょう。ここは死後の世界ではありません。」
と、男は言う。
叶斗は男に問いかける。
「じゃあここはなんなんだ?俺は確かに事故で死んだ。」
そう叶が言うと男は答えた。
「確かにあなた方は死にました。ですがあなた方は選ばれた存在なのです。」
叶が言った。
「何に選ばれたっていうんだ!俺には何も・・・っハ」
叶には心当たりがあった。叶は生前、人の行った物事を完璧に真似できそれ以上のことができる。いわば超能力みたいなものがあった。
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