第1章

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「そうか…迷惑かけちまったな…ごめん」 「気にしないで!そんなことよりコロシアム開催まであと二日しかない…どうする?」 不安そうな顔をした空がこっちを見てくる。 叶はこれからのことを考えようとしたとき、ある疑問が浮かんだ。 (そういえば空の能力ってなんなんだ??率直に聞いてみよう) 「あのさ、空の能力ってどんなものなんだ?」 すると空は答えた。 「多分なんだけど、自分の運動能力を飛躍的に向上させることができるみたいなんだ。詳しくは見てもらえばわかると思う」 そう言うと空は、外に出た。 「ちょっと待ってくれ?」 叶も後を追う。 「少し歩いた場所に広場があったんだ。そこに行こう」 二人は歩いて広場に向かった。 「着いたよ」 そこにはとても広い土地があった。 空は指を一回パチンと鳴らした。 「じゃあ、いくよ」 見た目に変化は見られない。 空は大きな岩に向かって目にもとまらぬ速さでぶつかっていった。 叶が岩に目を向けたときには轟音とともに大きな岩は崩れ去っていた。 叶はこのとき空を見て恐怖さえおぼえていた。しかし、興奮もしていた。 「すげえよ空!本当にすげえ!でも能力の使い方はなんで覚えてたんだ・・・?」 「指を鳴らすことだけはなぜか覚えてたんだ。不思議なことに・・・」 「ふ?ん。そっか!じゃあ、次は俺の力を見せてやる」 叶はそう言うと深呼吸をした。 「パチン」 その光景を見て空は呆然としていた。 さっき自分がした行動を同じように叶がやっているのだ。 「いくぜ!」 その言葉と同時に叶は岩に突っ込んだ。 岩は粉々に崩れ、見るも無残なものになっていた。 空は思った。これは僕以上だ・・・と。 「どうだ!俺の力は」 「す、すごかった・・・僕の能力とすごく似てて驚いたよ。でも力は僕以上だったね・・・」 「力が俺の方が上?そんなことはないぞ。だって俺の能力は人の行動を完全にコピーすること。今のは空の能力をコピーして使ったんだ」 空はその言葉を聞いて唖然としていた。 「で、でも僕には出せないすごい力だった。証拠に僕の砕いた岩は叶斗みたいに粉々にはなっていないじゃないか!」 叶は言う。 「人の脳は勝手に力を押さえ込んでしまうんだよ。でも俺の力はその押さえ込んでしまうはずの力も出せるんだ」 空は納得したように頷いていた。
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