第1章

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 カチャリとドアが開いた。 「お疲れ様です」  僕はハードカバーから視線を上げ、いつも通りの挨拶で出迎えた。 「お疲れ~」  僕の所属する部の部長、真田留以子が気怠そうな声で部室に入ってきた彼女はカバンを無造作に投げ、いつもの定席であるソファーに俯せに寝っ転がる。スカートがめくれないよう手で押さえるあたり、それなりに常識を持ってくれていることが窺える。  ひじ掛けに頭と足を乗せ、くわぁとあくびをする。彼女は背伸びし眠そうな目を擦る。僕の方へ首を回し、顔を上げる。 「で、今日は何すんの?」 「いや特にないですよ。ごろごろしてください」 「そっ」  真田は「ふぅーふぅー」と口笛モドキを吹き、ずいぶんと機嫌がいいらしかった。  それを見て僕も読書に戻ろうとしたが、不意に違和感に気づいた。先程は流れでたいして考えもせずに答えたが、イレギュラーなことが起きていた。
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