第1章

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 俺は軽い気持ちで、あるアプリをダウンロードした。  そのアプリは、俺好みの少女が毎日起こしてくれるというものだった。  最初は可愛い少女が毎日起こしてくれるから、とても嬉しかった。  そして、天国にも行けそうなくらい、童貞の俺にとっては至福な時間であった。  でも、だんだん、だるく感じた。  5分でも寝坊をしたら「わたしのこと嫌いなの?」と言ってきた。  最初はかわいくて仕方なかったので返信していたが、途中からめんどくさくなりスルーを決め込んでいた。  久しぶりに開くと、自傷行為をしていた。  正直、俺はリアルに「無理だ」と思ったので、それを削除した。  それから数ヶ月後に無事彼女ができた。ショートカットのかわいい女の子だ。  自慢の彼女と言っても過言じゃなかった。  彼女とはいろんな所に行った。遊園地に水族館、動物園に公園と定番な所ばかりだけど、それがまた良かった。 「私の家に来てほしいな」  彼女は顔をさくらんぼのように真っ赤にして、そう言ってきた。  俺も嬉しくて「絶対行くな!」と言ってしまった。  でも、当日に限って妹が熱を出した為、病院に行き、車で帰った。  そのせいか、約束より30分遅れていたので、慌ててメールを確認すると、ただ、こう書いてあった。 「早く来てね。大好きだよ」と。  思ってたより怒ってなかったので、安心した俺は急いで彼女の家に向かった。  彼女の家に着き、ブザーを鳴らして見たが返事がなかった。  変わりにメールで「私の部屋に来て」と。  浮かれ気分で彼女の部屋に入ると、そこには…… ーー彼女の首吊り死体があった。  意味が分からず、警察を呼ぼうとした。  でも、どこからかはわからないが何度何度もこう聞こえてきた。 「全部あなたが悪いんだよ」  怖くなった俺はその場から立ち去ろうとしたが、肩を掴まれた。女の手だった。  ちょうどその日はエイプリルフールだった為に、俺は笑いながら振り向いた。 ーー騙されちゃった。と言う為に。  だが、目の前にいたのは血のついた包丁を狂気に満ちた笑顔で持っていたアプリの少女だった。  俺は言葉にもならない悲鳴を上げて、逃げようとした。  だが、ドアは鍵がかかっていて、開かない。  そして、怯え狂う俺にアプリの少女はこう言った。 「もう、絶対に離さないんだから」と。
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