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「苦痛に歪んだ面して喘ぐだけの男を――俺に抱けと言うのか?」
乱暴に髪を掴み上げ
王は情けない僕の姿を
ベッドの前方に張り巡らされた鏡に映し出す。
「見てみろよ?絶世の美男子と謳われる男を妾にしたはずだが――ひどい有り様だ」
そこには入念に塗られた紅で
口元を真赤に汚し
髪を振り乱した狂気的な男がいた。
「申し訳……ありません……」
隷属の象徴である鎖が
頭を下げる度ジャラリ――いやらしい音をたてて揺れる。
「いいさ……知ってるだろう?」
僕の顎先を持ち上げ
少し酔いの回った様子で
王様は上機嫌に微笑みかける。
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