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試合前にもかかわらず、俺はスマホをいじっていた。
『夕飯作っておいたから。今日、帰ってきてね。
大事な話があるから。』
画面にうつる文字を見つめる。
「お前まだいかねーの?先行くからな」
「ああ」
…基本、チームメイトは干渉しない。
ただ、皆勝たなければならないという固定観念に囚われ、干渉するということをくだらないことだとしている。
「村井!ボケっとしてんな!」
「あ、はい!」
キャプテンの長瀬さんに呼ばれ、コートに駆け出した。
みんなコートでリフティングやキックをして、トレーニングをしている。
今日の対戦相手は東京の「アース」。
俺らの一つ上の順位。
まわりを見渡せば相変わらずガラガラの観客席。
そんな中、1人の女が目にとまった。
10人程度しかいないサポーター席の近くに座っている。
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