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Ⅱ.香り立つ
(ドロシー×セイロンさん)
ふわりと、いい香りがした。
紅茶――だろうか。大人びたような優雅な香りが、わたしの鼻をくすぐった。
「ドロシー様、茶は如何でしょうか?」
そんな言葉と共に、カップに入った紅茶を差し出されて、わたしはそちらへと顔を向ける。
わたしの名前を知っていて、尚且つ今のわたしがドロシー=ツィツェーリアだとわかる――ということは、おそらく帝国に所属している誰かなのだろう。
一体誰だろうか……。
見れば、わたしに声を掛けた彼が付けているのは中華風の仮面。品の良い紅茶のような髪色、そして頭には――帽子(?)があった。
「ありがとう。是非とも頂きたいわ。――ところで、どなた? その口振りからすると、帝国の方のようだけれど」
カップを手にとり口にしながら、わたしは言う。
「おや、ドロシー様。『ここ』でそのような事をわたくしに訊くのは、『野暮』というものでございましょう?」
「ふふ、そうかしら? まぁいいわ。でも、そうなるとわたしは、あなたのことを何と呼べば良いのかしら?」
「ここは仮面舞踏会。どうぞ、お好きなように」
「ならば、わたしはあなたのことを、安直に『紅茶のお兄様』と呼ばせて頂くわ。
時に、『紅茶のお兄様』。間もなくダンスが始まるわ。――わたしと、踊って下さるかしら?」
わたしは紅茶の入ったカップを手にしながら、目の前の青年に手を差し出した。
きっとこの紅茶は彼が淹れたのだろう。とても美味しかった。……個人的には生チョコでもあると最高だったけれど……。それに、紅茶を美味しく淹れる人に悪い人はいないと聴く。
果たして、わたしのダンスのお誘いは―――?
―――――――
20141223
うぇい! というわけで緋黒/蒼狼様宅、セイロンさんを拉致させて頂きました!
なんだかドロシーがダンスのお誘いとかしちゃっていますが、果たしてどうなるのでしょう。私も分かりません←←
というより勝手にやっちゃって宜しかったのか私は非常に不安です((((゚゚))))
ありがとうございました!
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