第6話

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主任も課長もまだ帰らないと聞いて安心した真由ちゃんは、さっきまでの心配が嘘のようにサッサと帰って行った 「佐伯、まだかかりそうか?」 「あと少しです、ここの色だけ入れれば終わりです」 「そうか、あがったら俺のに送って」 「わかりました」 ヤバイ、急がなきゃ課長が帰れないじゃん 私の仕上がり待ちをしている課長をチラリと見てフロア内を見渡すと、私達以外に営業課の人で出先から戻ってきた人が3人程いるだけだ 佑もいつの間にか帰ったみたいだ 時計を見ると21時を回ってる あーお腹すいたよ~ 今日は帰りにお弁当買って帰ろう 疲れて作る気力がないよ…… それから残りを一気に仕上げて課長のオッケーをもらい、片付けてオフィスを出たのは21時45分…… 送っていくと言ってくれた課長に、寄りたいところがあるからと言って断った 課長は病み上がりだからと心配してくれてたけど、なんとか渋々だが帰ってくれた 本当は寄りたいところなんてないけど、朝も迎えにきてもらい、私のせいで帰りも遅くなり、その上送ってもらうなんて、そこまで迷惑かけられない…… 課長とはエレベーターで別れて、私はひとり駅へ向かって歩き出した 駅の手前の交差点で信号待ちをしていると、賑やかな集団が地下のお店から出てきた 私の後ろで「二次会はカラオケ行こうよ」などと言って盛り上がっている 中には女の人の甘えた様な声も聞こえる 合コン……? 月曜日から元気だな~ 彼らのはしゃぎ振りを背中で聞いていると 「あれ~佐伯さん?今帰りなの?」 と不意に後ろから声をかけられた ビックリして振り向くと、そこには今背中越しに聞いていた楽し気な合コン集団……じゃなくて、うちの営業課の若手3人と総務の女子2人と、そして佑が立っていた 佑の隣にはしっかり腕にしがみついて頬をほんのり赤らめている経理の新人で真由ちゃんの同期の女子がいた うわぁーマジで合コン……?
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