第6話

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佑は私と目が合うと、腕にしがみついてた子に思いきり嫌そうな顔をして引き剥がした 佑に引き剥がされてビックリしたのか、佑の目を見つめて泣きそうな顔をしている 他の営業課の人達が佑に 「上條君、そんなに照れなくてもいいんだよ~なんならお持ち帰りしちゃう?」 と酔った勢いなのか、引き剥がされたその子を佑の身体にグイグイ押し付ける その子も一度は泣きそうな顔してたけど、みんなの後押しのお陰か 「え~私、そんな軽い女じゃありませんよ~でも上條さんならお持ち帰りされてもいいですよぉ~」 佑の腕に胸をグイグイ押し付けて上目遣いで最高に可愛い自分をアピール中だ…… 可愛いけど、ミエミエで好感持てないな 真由ちゃんのぶりっ子とは違う種類の生粋のぶりっ子ちゃんなんだな アホらしい………… 「お疲れ様です、お先に……」 私は作り笑顔で挨拶して、ちょうど青になった信号を渡ろうとした時 「アンタ、ウザいんだよ!たいして可愛くもないのに何勘違いしちゃってんの?」 地を這う様な低い声で佑が彼女に言った シーン……………… その場にいた誰もが固まってる 私も初めて見る佑に驚き動けない 「もういいか?俺は営業課の人と話がしたくて来たんだ、女がいるって知ってたら断ってたよ 俺、好きな人いるし、その人を振り向かせるのに必死だから こういうのマジでウザイ」 心底嫌そうな表情でみんなを睨むと 私の方を見て 「佐伯さん、俺も帰るから駅まで一緒に行こう」 そう言って私の手を取ると点滅しだした青信号を走って渡り、戸惑う私を無視して駅へとグングン歩いて行った
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