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コラボ返しで入りきらなかった前半です。
もしかしたらクレアちゃんがあげたのは、(ジェシカちゃんが無邪気に作ってしまった)ウイスキーボンボンだったのかもしれない……こいつ絶対酔ってるよ……
もっと素直に、格好良くなれたなら。
君を泣かせは、しないのだろうか。
泣いている。
どうして僕は、撥ね付けてしまうんだろう。
どうして僕は、意地悪なことしか言えないんだろう。
そんな不甲斐ない僕は、泣いている女の子の慰め方なんて知らない。
僕が知っているのは
食べ物が人を幸せにすると、
それだけだ。
でも、今目の前にいる子がそれを必要としてることくらいはわかるんだ。
迷いなくついさっき手渡された包みを開くと、彼女は目を丸くした。
「君も食べなよ」
「君もって…それ僕が作ったチョコですし」
「だって、泣いた後って甘い物食べたくなるでしょ」
目を泳がせる彼女の口に、無理矢理チョコを突っ込む。
固まっている彼女の前で、僕もそれを口に入れてみる。
……チョコとはこんなに、早く溶けるものだったろうか。こんなに甘いものだったろうか。
甘さにぼうっとなった頭では、どうでも良いことばかりが浮かんだ。
えーと、この子に伝えたいことはなんだっけ。
浮かんでは消えるどうでもよいことの中から、必要なことだけを取り出した。
「僕は嘘が嫌いなんだ」
「は…?」
「だから、言うのは大変不本意だけども、事実だから言うよ」
顔が熱いのはなぜだろう。
こんなに体温が高いから、きっとチョコレートも一瞬のうちに溶けたんだ。
「……君のチョコが、今まで食べた中で一番美味しい」
彼女の赤い頬は、夕焼けに照らされているからだろうか。
涙に濡れる瞳も陽光に輝いている。
「……っそ、んな、お世辞……」
「お世辞じゃないってば」
「……」
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