卯月

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さてさて恒例のはみ出し部分ページですよ!ごめんなさい ※敬称略です 新年度を控えて、二人の生徒が備品の整理を手伝っていた。 片や、来年度から二学年へと進学するヨシヤ・トレランズ 片や、来年度からは最終学年になるシーヴァ・イーストン。 倉庫に使わない備品を運ぶ途中の二人は、廊下を和やかに歩いている。 「シーヴァさんは子どもが好きなんですよね」 唐突にヨシヤが話を切り出した。 和やかな雰囲気だけに和やかな話題を持ち出した彼は表情からも声音からも和やかさを存分に滲み出している。 「うん…子どもは素直だし…可愛いし…ヨシヤ君は…好きじゃない…?」 大好きな子どもの話が出たためか、口数少ないシーヴァも頬をほんのりと薄紅に染めて話題を広げた。 返ってきた問いに、ヨシヤは苦笑しながら正直に答える。 「嫌いじゃないんですが…面倒をみてると大変な時もあるので…」 (なんか慣れた口ぶり……あ、) ピンときたシーヴァ、ほんの少しの期待を込めて、遠慮がちに問いかけた。 「も、もしかして…家に小さい子どもいたり…? 」 その間にも倉庫に到着。 ヨシヤはよいしょと荷物を下ろし、にこやかにシーヴァの問いに頷いた。 「ええまあ…小さくはないんですが「ヨシヤ」 ヨシヤが言い終わるか終わらないかのその瞬間。 彼の名前を呼ぶ真っ直ぐな声。 そして、焦げ茶のケープを引っ張る指。 二人が向けば、そこには迷いのない瞳でヨシヤを見上げる一人の少年。 その、学園の一生徒でありヨシヤの幼なじみであるノイ・フィールフラスは 唐突に現れ、堂々と、なんの脈絡もなく、 「お腹すいた」 自分の願望を吐き出した。 なんかちょーだいと頭は食べ物のことしかない模様。 その様子はまさに。 「本当…」 彼を無視し、ヨシヤは呟く。 先程の話の続きという風に、しかしどこか独り言だとでもいう風に。 シーヴァは既に察していた。 そして納得していた。 確かに…小さくはないな、うん。 「大変です…」 死んだ目で呟ききったヨシヤに、シーヴァは「そっか…」と哀れみの声を返すことしかできなかった。
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