せんそうとさくら

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 本日は快晴なり。  春のうららかな陽気が顔を見せ、そろそろ布団から起き上がるのがつらい季節がやってきた。  こんないい天気なら、そろそら咲き始めるのだろうか。最近はテレビで開花予想をしているくらいだから、本当に便利になったものだ。  そうなれば、酒でも用意して旧友と談笑するのもいいだろう。つらいこと、たのしいこと、かなしいこと、うれしいこと。積もる話もあるはずだ。  こんな風に思えるようになったのだから、時の流れというのはまったくもって恐ろしい。  あの頃は、こんな世の中になるとは思いもしなかった。ただただ、目の前のことに精いっぱいで、将来のことを考える余裕も、過去に求めるほどの救いもなかったのだ。  今となってはその記憶も薄れ、はかない思い出としてだけ残っている。いずれ風化する運命を寂しく思うが、いつまでも残らないからこそ美しいというものでもあるから、そのさじ加減が大変難しい。  さて、さくらが咲くならば。私としては、あの場所の様子を見に行かないわけにはいくまい。  これは毎年の習慣でもあるし、ある種の義務と化している。  すでに死んでしまった友人も多く、思い返せば彼らとのつながりもあの場所に限られていた。私の人生をかけたことに、私は誇りを持っている。そうでなければ、あれほど必死にはならなかった。  今日は純粋に、さくらを見に行こう。  難しいことを考えすぎた。こんな柄ではないことを、自分が一番分かっている。  だがしかし、どうしても思い出されてしまう。  私の青春時代をささげた、あの日々のことを―――
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