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神のそばにいる為に。
神を信じて祈る為に。
人々のそういう思いを集結させ、それを叶えたカタチが、この教会と言う箱。
圧倒されるような雰囲気の中、オレは奥に、何かを見つけた。近づいて行くと、それは人だった。誰かに会える、という安堵感からか、張り詰めていた感覚が少しずつ薄らいでいく。
祭壇まで行くと、そこにいるのが、自分と同い年ぐらいの少女であるのがわかった。祭壇に背を向け、少女は座り込む形で目を閉じている。
「――――」
「――――」
声をかけようと思った。でも、目を閉じているその顔がとても綺麗で――声をかけるのを、躊躇(ためら)ってしまった。
「――――」
「――――」
ようやく思考がおいついてきたのか、今更のように、オレは一つの疑問を抱いた。少女が何故ここにいるのか? という、当たり前の疑問を。少女の肩に触れ、起きるよう促(うなが)した。すると少女は、わりとすんなり目を開けてくれた。
「ここで、何してるんだ?」
「…………」
少女は、何も語らない。ただまっすぐオレを見つめるだけで、目に力は無く、まるで人形と思えてしまうほど、覇気が感じられなかった。
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