境  界

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境  界

 いつも通る道の途中、警察や救急車がいた。  何があったのかと、人の間をかき分け覗き見る。  見たのは、アスファルトに広がる赤。  教会の屋上から、人が落ちたらしい。  ちょうど、運ばれて行くのを目にした。  ……一瞬だけ、布の隙間から顔が見えた気がする。  世の中、本当に何が起こるかわからないものだ。  当たり前にある日々も、ちょっとしたことで崩れるんだから。  ――それは。  初めて、そんな現場に出くわしたからだろう。  日常と非日常。  二つは、微妙なバランスで保たれている。  歪みを見ても、人は、気付かないのだろう。  歪みを見ても、人は、目を背けるのだろう。
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