【雪月夜、鐘の音に誘われ悪を見る】

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 学生たちが行くと言えば、だいたいここだろう。うるさいと思うほど、様々な音が入り混じる。パチコン台がある場所からは、かなりの量の煙がたちこめるここは、 「おっ、あったあった。――あぁ~やっぱ並んでるか。透、手始めにこれで対戦しようぜ!」  そう、ゲーセンだ。 「いいけど、これあんまやったことないから上手くないぞ?」 「大丈夫。俺が鍛えてやるからさ」 「あぁ~お手柔らかに頼むわ」  ゲームの事になると、誠司はかなりの力を発揮する。これを少しでも勉強の方に活用したら良いのに……なんて、本気で思うぐらいに。  いつだったか、それを言ってみたことがある。すると、それは言われ慣れてる、だそうな。おそらく、樋代さんに言われてるんだろう。今の状態を見たら、たぶんその言葉が聞けそうだ。 「――――よし、もらった!」  あっ、やられた。しかもあっけなく。  時間にして、ものの二分といったところ。  台から離れると、オレは誠司の隣に向かった。 「相変わらず強いよなぁ~」  褒めれば自慢げに、やっぱり? なんて言いながらこちらを振り返る誠司。  なんかその顔がムカつくから、オレはもう一度チャレンジすることにした。 「ぜってぇー負かしてやる」 「おう。何度でもかかってきなさい」  今度はなんとか粘れ、さっきよりも長い時間戦えた。とは言っても、負けたことに変わりは無い。今のところ、五戦0勝一引き分け。もう、今日はこいつに勝てる気がしない……。
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