11人が本棚に入れています
本棚に追加
奥へ進むも誰もいない。それどころか、誰かが住んでいたという痕跡すらない。もしここがアジトであるとするなら、なんらかの痕跡があるはずである。
ここはアジトではない――。
ロボットがそう結論を出したとき、前方に動く影があった。
暗い中でも、ロボットには見えた。
それは一人の少年だった。
少年が前方に走りこんできたとき――。
大きな爆発が起きた。
洞窟の外、少し離れたところの岩陰で様子を見守っていた武装グループも、その爆発音を聞いた。そして、洞窟から大量の土煙が吐き出されるのを見た。
「くそ、やつらの罠か」
リーダーは血相を変えて叫んだ。
「撤退だ。ここからずらかるぞ」
これが罠なら、周囲に敵が潜んでいる可能性が高い。
リーダーの命令が飛ぶと同時に、部下たちは命が惜しくて我先にと逃げ出した。
「ぬかったぜ。せっかく買ったロボットがパアかよ」
リーダーは部下たちとともに逃げながら、悔しさに歯噛みした。
最初のコメントを投稿しよう!