〈4〉

3/3
前へ
/31ページ
次へ
 奥へ進むも誰もいない。それどころか、誰かが住んでいたという痕跡すらない。もしここがアジトであるとするなら、なんらかの痕跡があるはずである。  ここはアジトではない――。  ロボットがそう結論を出したとき、前方に動く影があった。  暗い中でも、ロボットには見えた。  それは一人の少年だった。  少年が前方に走りこんできたとき――。  大きな爆発が起きた。  洞窟の外、少し離れたところの岩陰で様子を見守っていた武装グループも、その爆発音を聞いた。そして、洞窟から大量の土煙が吐き出されるのを見た。 「くそ、やつらの罠か」  リーダーは血相を変えて叫んだ。 「撤退だ。ここからずらかるぞ」  これが罠なら、周囲に敵が潜んでいる可能性が高い。  リーダーの命令が飛ぶと同時に、部下たちは命が惜しくて我先にと逃げ出した。 「ぬかったぜ。せっかく買ったロボットがパアかよ」  リーダーは部下たちとともに逃げながら、悔しさに歯噛みした。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加