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「そうだ」  調査員は手を打った。  ロボットの背負っていた荷物の中から、ナノマシンの入ったケースを取り出した。ナノマシンを体内に入れることで、普通の人間にはできないような能力を一時的に得ることができるのだ。こうしたナノマシンを数種類、非常用に持ってきていた。  ケースを開けて、シート状になっている中から、ひとつを選びだした。  それを皮膚の、静脈の浮いているところに直接貼り付けた。皮膚を通してナノマシンが血管内へと入っていく。 「これで、おれの体から電気を送れる。おれが電池代りだ。端子を開けてくれ」  体内の栄養分を電気に変える働きをするナノマシンだった。 「さあ、これで脱出だ」  と、調査員は端子に指を突っ込んだ。
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