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 合金製のメタリックボディを持つ人型のロボットの目はライトになっていた。もっとずっと人間に近い造形のロボットもあったが、そうである必要もなく、高価ということもあって、ちょっと古風めいたデザインのほうがロボットらしくてよいという会社の方針だった。調査のための重い器具類を背負っている。 「どうした?」  調査員は振り返る。 「なにか音がします」  ロボットは人間よりも感度の高いセンサを備えていた。ちょっとした環境の変化でも気づけた。 「音だって? どこからだ?」 「坑道の外からです」 「外……」  もう五百メートルほども入ってきている。外の音など人間には聞こえない。 「雨の音です。それもかなりの激しい雨のようです」
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