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「これから敵(やつら)のアジトの一つを攻撃する。おれたちに強い味方が加わったからだ」
そう言って、集まった数十人の部下に、傍らに立つ一体のロボットを紹介した。
「こいつは頑丈で、ライフルの弾もはじく。これからこいつに奇襲攻撃をやらせる。そのあと、おまえたちはこいつに続くんだ。いいな!」
自動小銃をもったロボットは、
「みなさんのお役に立てるよう、がんばります」
と言った。
部下たちは呆気にとられた。人型のロボットを見たのは初めてで、内心、こんな機械に務まるのかと怪訝な表情を見せたが、リーダーの意見に文句は言わなかった。それがこの組織での処世術だと誰もが心得ていたから。政府を倒すとか、国を良くするためとか、そんな崇高な気持ちからではなく、単に食べていくためだけに集まった男たちは、「生きていく」ということのみに敏感だった。
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