第1章

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「溢れー出したーー」 かすかに聞こえてくる曲に、耳障りの良い低音がのる。 (放送室…?授業中なのに) ぶら下がった古いプレートを見てそう判断したけど、小さく開いた扉から漏れた声は、たしかに歌を歌ってた。 気になって、足音をたてないように一歩ずつ慎重に近付くと、そのたびにだんだんと大きくなっていく音の流れに、引き寄せられるようにドアノブをつかもうと手を伸ばす。 すると……引っ張られた。。 比喩的な意味ではなくて、実際に、細いとも太いとも言えない何かに引き寄せられてしまっていた。
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