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「おはようございます、部長。」
「朝食、ご一緒してもいいですか?」
「おはよう。いいよ…ゆっくり眠れたか?立花。」
「はい、昨日いただいたドリンク剤が、効いたみたいです…」
「そうか…あのドリンク剤は、女性にも飲みやすいと思うよ。」
「それに気休めかもしれないが、疲れが抜けるような感じがするんだ。」
翌朝、薫は杉原と宿泊先のホテルで、朝食を取っていた。
杉原は、薫が本社での打ち合わせの後、浮かない顔をしていたのが、気にかかっていた。
香川にも同じように、見えていたらしく、2人だけになった時、聞いてきた。
「杉原、僕が長野くんを担当者として、連れて行ったのが、不味かったかな?」
「えっ!」「薫さん、打ち合わせが済んだ後、顔色悪かったぞ…」
「京都のオフィスにいる時も、ああなのか?」
「いや。僕は、何回も出張や会議に同席させているけど、こんなことは初めてだよ…」
「相手が長野くんだから、かなり緊張していたんだろうな…彼女に悪いことしたな…」
「そうかもしれない…でも彼女は、与えられた仕事は、しっかり熟して、成果を出す社員だ。関西地区でも評価は高いんだ。」
「僕の取り越し苦労ならいいんだが…」珍しく香川が、弱気なことを言うので、杉原も今朝の薫を見て、ホッとしていた。
「薫、今日説明する文書は、出来たのか?」
「はい、昨日の打ち合わせを録音しておいたので、箇条書きにしてみました。」
「部長が説明されるのを併せると、幹部の方々にも、企画書を見ながら、わかっていただけると思います。」
「それなら…僕が補足して、疑問点は後日追加すればいいな。」
「はい」
薫は、杉原に長野への恋心を、悟られないようにしなきゃ…と、杉原に声をかける時に決めていた。
杉原に知られてしまうと、あらぬ心配を香川にもかけてしまうと、思わずにはいられない。
それなら、【あくまでも担当者として立場を崩さないようにしなければ…】と平静を装うことにした。
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