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「誰だお前」
口から出たのは至極自然な疑問。もしくは不自然な状況に対する拒絶反応。
「我か?我は神ぞ。この神社の、な」
この家は、中々に大きい。
第二次世界大戦の終結から一世紀経ったこの時代に逆行するかのような古風な日本家屋。
平屋造りの母屋は広々としていて、16畳の居間が一つ、8畳間が二つ、風呂とトイレと台所が一つづつ。
あとは、二階建ての普通の一軒家と廊下で繋がっていたり、ちんまい蔵みたいのがあったり……神社があったりする。
家の、敷地の中の、塀で囲われた中に、神社である。
そんな環境なので、この目の前のちっこい子供がいきなりそんな事を言い出しても別におかしいとも何とも…………。
「いや、誰だよお前」
「あれ?」
現在地は平屋の居間である。
部屋にドンと置かれたこたつを占領している不審者。
「ふむ……そなた、黒鉄の一人息子であろ?……大きうなったのう」
「そうだが……お前は?」
「んん?お主とは何度か会っとるぞ?」
「……記憶に無いな」
うん、無い。何度確かめても無い。
「あれー?正月やら盆やらの集まりには来ておったよな?」
「……んっ!?」
確かに親戚で集まった時にいつも着物を来てる女の子がいたような……?
でも今ではその集まり自体、うちの両親の葬儀以来無いのだが。
しかしおかしい。
「……10年前から小さくなってないか?」
「あほう、お主が成長したのよ。」
「え。……お前、いま何歳だ?」
見た感じでは13~15歳位だが……。
「えーと……ざっと1000は超えておるな」
「はっ!?」
マジでなにを言っているんだこいつは。
「そんな驚くことも無かろう。これでも出雲に行けばまだまだひよっこ扱いじゃぞ?」
……信じられない。本当に信じられない。
けれど、知らない人間じゃない。
……いや、人間じゃないんだけど。
「はぁ……ま、いいや。同居人がいるのは心強い。これから世話になるよ」
「むー?お主我を疑っておるなー?……まぁ、良い。これから世話してやろう」
こうして、奇妙な新生活が始まった。
「ところでお主、ますます愛らしゅうなったなぁ……」
……!!
あぁ、そうだ。確か記憶の中のあの「お姉ちゃん」は……!
「ふふ……これから、よろしゅうたのむぞ?」
とんでもない変態だったんだ……っ!
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