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「ねえ……話し変わるけど、桃華なんだけど…」 思い出したように美加が言った。 「桃がどうした?」 辰也は、かなり不機嫌ではあったが、表面には出さず、桃華の事ならばと気持ちを切り替えた。 「これから先、ちょっと心配なんだ」 「心配って?」 「もうすぐ、マリちゃんとユキちゃん卒業しちゃうじゃん……」 その一言で辰也は、美加の心配事の意味を理解した。 中学生になった桃華は、誰もが驚く程変わった。 切っ掛けは入学して直ぐに、桃華が上級生に絡まれた事にあった。 隆円の浄霊後、桃華は口数は少ないが、ごく普通の少女へと成長した。 とは言え、クラスメイトと会話はするが、特に仲の良い友達を作るでもなく単独行動。そして美少女。 クジナが取り憑いていた頃に比べたら、かなり普通にはなったが、ごく普通の少女と言うには語弊があり、本人の意思とは関係無く、人目を引く存在だった。 桃華の通う中学校は、不良の多い学校で、単独行動の桃華は入学早々に、上級生に目を付けられてしまったのである。 子供過ぎて、不良と言う存在自体を理解出来ずに、狼狽えていた桃華を救ってくれたのが、美加が名前を出したマリだった。 『辰ちゃん!学校でガラの悪い人に絡まれたんだけど、竹刀持った上級生が助けてくれた。 その人、金髪でお人形さんみたいに可愛いのに、凄く強いんだよ!』 その日、店に帰って来た桃華が、興奮しながら辰也に報告をした。
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