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ソーリン国──この国の文字に置き換えると、“桑林国”と表記される。
口語自体は出発国ヴィルガイアと変わらないが、文語にすると使用している文字の種類が異なる。
まさに異国。
ルースがこの国にやって来て早三日が経っていた。朝まで共にいた男と女は、今頃この町中を散策しているに違いない。
ルースは耳の裏を後ろ足で掻きながら人々をじろりと眺めた。
着物と呼ばれる和風の服を身にまとう者が多い。
しかし、一貫して全員が和というわけではなく、少ないながらもヴィルガイア王国の民と同じように西洋風のものを身に付けている者も確かにいる。髪の色も様々だ。
和を軸にあらゆる文化が入り交じっている。
桑林国の特徴と言うならば、ファミリーネームが頭に来るということだろうか。
茶色がかったオーカーの瞳が大半を占めるヴィルガイア王国とは違い、瞳の色も統一性はあまり感じられない。強いて言えば黒い瞳が多いだろうか。
これほど黒の割合が多い国は大変珍しい。
ルースは仲間の女のことを思い出し、黒い瞳の彼女もこの国ならばそれほど目立つことはないかもしれないとふと考える。
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