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しかし、この数日でこの国は自分達には少々住みにくい国だと確信していた。
──この国には、魔法が存在しない。
万物に潜む魔力という分子を使って構築し、体内にある要素媒体を加えることによってあらゆる物質に具現させる能力。
炎であり、氷であり、または樹木であり、性質に限りはない。
それが魔法。
ルースは元々別次元の存在だ。魔法は身体の一部という認識に近い。
しかし、決して精霊だけの能力ではなく、ヴィルガイア王国は魔法を使う者が大半を占めている。
ヴィルガイア王国のみならず、世界中の人間の半数以上が魔法を扱うとされていた。
人間にとっても生活に欠かせない大切な能力と言える。
「概念すらないか……異質だな」
ここはこの常識をくつがえすかのような国だ。
おそらく魔法という言葉さえ知らない。それがかえって薄気味悪く、魔法を使う身とすれば居心地が悪かった。
だからこそ、魔法使いはこの国に来ないのかもしれない。
ルースは退屈そうにあくびを一つした。
今の話は全て仲間がしていたこと。精霊のルースにはさほど気になる問題ではなかった。
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