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「もうさ、レクチャー受けたんだし、ちゃんと結べば?ネクタイ」
赤くなった両頬を摩りながら、とんでもない事を提案してくる比呂に目を剥く。
「は!?ありえねぇし!誰が、あんな人の思い通りになってやるかよ!こうなったら、意地でも直さねー」
「うわぁ……痛い奴ぅ~…。しかも、張り合ってるのって、お前だけじゃん。カッコ悪りぃ~。だっせー」
「うっさいな!男の沽券に関わるんだよ」
呆れた顔をした比呂が、「お前って、ほんと……」と言ったところで言葉を止め、憐れみの目で見てくる。
「なんだよ。言いたい事があるなら、はっきり言えよ」
「お前って、ほんとアホだよな…。まあ、可愛らしく思えなくもないアホさ加減だから、気にすんな」
「お前にだけは、アホアホ言われたくねぇっつーの」
しみじみと言う比呂の足を、思い切り蹴飛ばしてやった。
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