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*Necktie・7*
…………誰か、これは夢だと言ってくれ。
なんで、こんな事になってるんだ?
目の前の出来事に、俺は肩に掛けていたスポーツバックを落とした。
「おはよう、加勢くん。みんな、先に行ってるから」
土曜日の朝、九時。
集合場所の駅に行くと、水原さん、ただ一人が俺を待っていた。
「お……はようございます……集合時間って、九時…ですよね?」
恐る恐る聞く俺に、水原さんはポケットから携帯を取り出しながら俺を見た。
「いや、集合時間は七時だ」
簡潔に答えると、そのまま誰かに電話する。
「水原です。はい、加勢くんが来ました……ええ、はい、そのようです。今から、合流できるよう向かいます」
ひーろーっっ!!!
あ・の・や・ろ・う!!!
次に会った時は、ぶんなぐってやるっっ!!!
しかも、元凶の奴が、普通に集合時間に間に合ってるって、どういう嫌がらせだ、あの野郎!
その上、俺を待ってるのが水原さんとか、もう悪夢としか言いようがねぇ。
夢なら、早く覚めてくれ……。
「加勢くん、取り敢えず、皆に追いつける電車を調べよう」
電話を切った水原さんが、自分のバックを担いで駅員室へと歩き出す。
俺も、自分のバックを拾い上げて、その後を追った。
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