439人が本棚に入れています
本棚に追加
*Necktie・2*
俺は、加勢大地(かせ だいち)。
入社して三年目になる。
自社ブランドの服を売り込む営業が、俺の仕事だ。
業種のせいもあってか、服装や装いに、比較的緩い会社ではあるが、金髪に黒い肌とくれば、流石に良い顔はされない。
それでも、営業の成績がトップクラスのおかげもあって、黙認してもらえている。
そんな俺に、唯一、さっきのような小言を言ってくるのが、水原さんだ。
ハッキリ言って、営業の成績で言えば、俺の方が上だ。
そんな人に、ネチネチと小言を言われるのもウザいし、何様のつもりだよ、とも思う。
俺に文句が言いたけりゃ、せめて営業の成績を上げてから言ってくれって感じだ。
どんな職場にも必ず一人は居る、大人しくて地味な、優等生が服を着て歩いてるようなタイプの人間。
地道にコツコツってヤツだ。
そんな人生の、どこが面白いのか、全く理解出来ない。
この人、生きてて面白いんだろうか?
この人の人生を生きろって言われたら、俺なんて数秒で人生に絶望するに決まってる。
つまり、それくらい、この人の存在が気に食わないし興味もない。
せめて、俺の視界に入らないでくれ。
いや、ほんとマジで。
最初のコメントを投稿しよう!