Necktie

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*Necktie・3* 「お前、そりゃ、ひでぇわ」 会社帰りの居酒屋。 同期の百瀬比呂(ももせ ひろ)は、ゲラゲラと大きな声で笑った。 「視界に入るな、って、究極だろ。ないわー」 そう言いながら、イカのゲソ焼きにかぶり付いた比呂は、通りかかった店員に、「生ビール二つ」と追加注文をする。 「お前も、あの人に注意されてみろよ。会えば、ネクタイネクタイって、オカンかっつうの」 「そんなに嫌なら、ちゃんと結べばいいじゃん。なんで、わざわざ言われるように仕向けるわけ?」 「あの人に言われたから、直すってのが気に食わない。俺のポリシーに反するんだよ」 「めんどくせー奴ぅ。言われ続ける方が、ウザいとか思わないわけ?」 「あの人が折れれば、それでいいんだよ。おれから折れるとか、マジでありえねー」 そう言った俺に、比呂は呆れた顔をした。 「意味わかんねぇし。お前、どんだけガキなわけ?恥ずかしくない?俺ら、もう二十五だぜ?」 「うっせぇよ。ほっとけっつうの。あー!ムシャクシャする!ピアスあけてぇー!」 喚き散らしていると、店員が追加の生ビールを持ってきた。
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