Necktie

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そのまま、比呂を扉の方へと押しやり、ついでに背中に蹴りを入れて、扉の外へと追い出した。 「ってぇ!!!おまっ…!大地、てめー、覚えてやが……」 閉のボタンを押すと、ギャアギャア喚く比呂の声が、姿と共にフェードアウトしていった。 取り敢えず、最上階のボタンを押す。 「……加勢くん?」 そんな様子を見ていた水原さんが、驚いた様子で俺を見ている。 「あの……」 どこから話そう? 何から話せばいいんだ? ノープランな行動なせいで、ちゃんと纏まっていない頭の中を、今更ながらに整理していると、言うべき言葉が出てこない。 「……すまない」 そうこうしているうちに、先に口を開いたのは水原さんだった。 「え?」 謝るのは俺の方なのに、目を逸らしたまま、水原さんが謝罪の言葉を口にする。 逸らす事なく、いつも真っ直ぐに向けられていた目が、今は俺の顔を見ようとしない。 その事に傷付く自分勝手な自分に、苛立ちと怒りを覚える。 「……嫌われていると知らなかったとはいえ、嫌な思いをさせていたと思う……気付かない自分が情けない……すまなかった」 そう言いながら、伏せられた水原さんの瞳は、悲しそうな感情が見える。
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