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「ちが…!」
「ネクタイの事も、すまない。もう、何も言わないから安心してくれ」
所詮……そんな存在か…。
嫌われてるから、縁を断ち切って『はい、サヨウナラ』な程度の存在なんだよ。
所詮、この人にとっての俺の存在なんて、そんなモンだ。
それが普通だ。
ついこの前まで、ただの先輩と後輩だったんだ。
けどな……。
それで、『はい、分かりました』って簡単に頷けるほど、俺は素直じゃねえし、この想いだって半端な気持ちじゃねぇ!
ダンッ!!!
水原さんの顔の後ろの壁に手を付き、逃げ道を塞ぐようにして身体を近付けた。
「……加勢くん?」
「確かに、俺はあんたの事が、すっげえ嫌いだったよ」
そう言った瞬間、水原さんの表情が凍り付く。
その目には、俺の言葉で傷付いた感情が浮かんでいた。
「けど、一緒に旅行して…あんたの意外な一面とか、考え方とか知って………」
色々とごちゃごちゃ説明するのが、面倒臭いっていうか、ウザいっていうか、俺らしくねえ…。
あぁーーっっ!!
もう、この際、建前とか、格好とかどうでもいい!!
形振り構ってられっかっっ!!!
「俺、あんたが好きだ」
一世一代の大告白をしたってぇのに、水原さんは目を大きく見開いてフリーズした。
驚きすぎて、全ての機能が停止したんだろう。
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