Necktie

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運ばれてきたビールジョッキを、互いに軽くぶつけて、ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲むと、炭酸の爽快感が喉に広がる。 やっぱり、仕事後のビールは格別だ。 「さすがに、ピアスはマズイだろ。その金髪を黙認してもらってるだけでも奇跡に近いって」 「そう言うお前だって、茶髪じゃん。ピアスなんて、たかがファッションだぜ?」 「茶髪と金髪を、一緒にすんな。ピアス、あけんなよ?」 「分かってるよ。言うのはタダだろ」 勢いのままあけてしまいたいところだが、俺だってそこまで馬鹿じゃない。 やり切れない気持ちで、だし巻き卵を口の中に放り込む。 「そういや、今週末の社員旅行、集合時間って九時だったよな?」 突然の話題転換に、思考回路がついていかない。 旅のしおり、なんて物も貰ったが、全く楽しみにしてなかったせいか、一回も目を通していなかった。 「そうなんじゃない?そんな感じだろ」 適当に答えた俺に、比呂は「サンキュー」と返した。 それまで話していた水原さんの話題は、そのまま週末の社員旅行の話へと変わっていった。
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