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なんだ、これ?
何が起きてんだ?
誰か説明、プリーズ!
半ば、パニックに陥っている俺の傍に来た水原さんは、シュルリと音を立てながら、俺のネクタイを解いて引き抜いた。
「ここだと、人の通行の迷惑になる。あそこで直そう」
そう言って、水原さんが指差したのは会議室だ。
いつもなら、チャチャッとその場で直してしまう水原さんなのに、わざわざ会議室へ行こうと言う。
もしかして、昨日の告白の答えか?
そう思い至った俺は、急に緊張してきた。
「あ、はい、お願いします」
そうぎこちなく答えて、先に歩き出した水原さんの後を追う。
もう、答えが出たのか…。
思った以上に早かったな……。
もう少し悩んでくれるんじゃないかと期待していた分、予想が外れた寂しさの反動が大きい。
まあ…普通、そうだよな…。
男にコクられりゃ、ノーマルな男なら、直ぐに答えが出るに決まってる。
それを、一晩考えてもらえただけでも、良しとしなけりゃ罰が当たるってもんだ。
よし!
会議室に入った俺は、そう自分を無理やり納得させると、受けるであろう心のダメージに備えて、気合いを入れた。
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