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「えー……あの…結婚とか、考える必要って、あります?」
そう言った俺に、水原さんは目を丸くした。
「いや、だってそうでしょ?同性愛ですよ?普通は、隠すもんじゃないですかね。出世とか、会社での立場とかありますし」
「そうか……それは、考えてなかった」
しみじみと呟いた水原さんに、脱力する。
いや、こんな人だって分かってたけどさ。
こういう、天然なところも好きになったんだし。
「ただ、俺は」
そう続けた水原さんを、態勢を整えて見ると、普段の真剣な顔で話し始める。
「君のご両親に、どう誠意を見せればいいのかと思ったんだ。大切な息子さんを貰い受けるとなると、やはり結婚の問題は避けては通れないだろう。君の人生を、私達の間だけで好き勝手にするべきじゃないと思う。君の人生の根元には、ご両親の存在があるんだ。蔑ろには出来ないだろう」
そんな真摯な水原さんの言葉に、なんて言うかさ……キュン?ときた。
だって、そうだろ?
俺なんかの人生を、こんなにも大切に考えてくれてる。
遊びなら重たく感じる言葉も、この人が言ってくれると、すっっっげえ嬉しい。
だからこそ、この人が好きなんだろうけどさ。
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