Necktie

それにしても、やっぱり……。

「あのですね、水原さん？結婚とかの話の前に、俺の事、好きかどうかも、まだ聞いてないんですけど？」

「あ……」

やっぱ天然だわ、この人。

俺への想いを伝える前に、いきなりのプロポーズ。

やっぱり、俺の予想を遥か斜め上に超えて来る人だ。

そんな水原さんに、ニヤニヤが止まらない。

ズイッと近付くと、少し狼狽えるように目を泳がせる。

「で？どうなんですか？俺の事、どう思ってくれてるんです？水原さん？」

「……それは…だな」

「それは？」

「あれだ……ほら…」

「ん？」

「………将来の事を見据えた上で、色々と検討しようかと」

思わず、ブッと吹き出した。

どんだけ真面目なんだ。

おかしすぎて、笑いが止まらない。

「なっ……俺は、真剣に」

「いやいや、水原さん、真面目に考えすぎなんですよ」

笑いながら、水原さんの肩に片手を乗せ、もう片方を腰に添えて、グイッと引き寄せた。

「そもそも結婚なんて、たかが紙切れ一つの問題ですよ？そんなの必要ないでしょ」

「そうかもしれないが…」

「それに、お互いの人生に誓い合えばいいんですよ。だって、重要なのは、そこでしょ？」