Necktie

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そう言って、肩に乗せていた右手で、水原さんの左手を掬い取る。 「私、加勢大地は、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います」 そうして、水原さんの左手の薬指にキスを落とした。 「水原樹。貴方は健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 そう問い掛けると、少し考えを巡らせるような顔付きをした後、ゆっくりと口を開いた。 「…………………………誓います」 ゆっくりと顔を近付けて、羽根のような軽いキスを、水原さんの唇に落とした。 「これで、二人は夫婦です」 そう言うと、水原さんは、柔らかい微笑みを浮かべた。 「で?俺の事、どう思ってくれてるんです?」 有耶無耶にしてたまるか。 ちゃんと、水原さんの口からハッキリ聞きたい。 そこは譲れねぇ。 水原さんは、顔を僅かに赤くしながら、目を泳がせた。
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