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*Necktie・4*
朝になり、会社に着けば、いつも憂鬱になる。
どうせ今日も、ネクタイの事を言われるに決まってる。
なんか、いい方法ねぇかなぁ……。
今日こそは、あの人を打ち負かしたくて、会社までの道すがら必死で頭を捻る。
ようは、二度とネクタイの事を言わせなければいいんだ。
そうだ…!浮かんだぞ!
ある事を思い付いた俺は、打倒、水原樹にニヤニヤが止まらない。
二度と、ネクタイに口出し出来なくしてやる!
「おはようございます!」
初めてじゃないだろうか。
俺から挨拶をするなんて。
来る途中で浮かんだアイデアに、機嫌良く挨拶をすると、水原さんは、少し驚いた表情で「おはよう」と返した。
そして、いつものように目線が俺の顔からネクタイへと下がっていく。
よし!来い!カモンッ!
気分は、まるで罠を仕掛けて獲物を待ち受ける猟師のようだ。
いつも辟易していた言葉を、こんなにも待ち望む日が来るなんて、誰が予想しただろうか。
「ネクタイ、曲がってるぞ」
よし!キタキタキターッッ!!
ニヤケそうになる顔筋を必死に堪え、殊勝な顔を作る。
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