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「なあなあ、知ってる?水原さんの携帯ストラップ」
比呂の振った話題に、ドキリと胸がざわついた。
「……ストラップって?」
「ほら、訳のわかんねー不気味なキャラのストラップ」
「……あぁ、アレな」
アレは、俺があげた、温泉街のゆるキャラだ。
「あれってさ、ダッサイよな?」
そう言った比呂は、ブブッと噴き出して笑い始める。
「水原さんの趣味かな?それとも彼女の趣味ってやつ?どっちにしてもありえなくねー?ねーよな、アレ」
彼女の趣味じゃないが、彼氏のプレゼントだ。
そして、俺の趣味じゃなくて、水原さんの趣味だ。
けど、比呂にバカにされるのは、なんだか面白くねえ。
ハッキリ言って、ムカつく。
「え?お前、知らねぇの?」
だから、ちょっとしたイタズラを仕掛けてやった。
「へ?何が?」
「あのキャラ、有名なんだぜ?もう少ししたら、全国区で有名になるキャラの一つって言われてて、子供から大人まで人気があるキャラなんだけど……お前…まさか知らねぇの?」
「へ?」
間抜けヅラした比呂を、呆れた顔で、そしてバカにした表情で見てやる。
「………お前……ファッションの営業マンが、流行の先取り出来ねえなんて、マジでねぇわ。水原さん、見習えよ」
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