439人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言った俺に、比呂は少し傷付いたような表情を浮かべた。
やべぇ…言い過ぎたかな……。
そうは思っても、今更、前言撤回する訳にはいかない。
その場で、ストラップの話題を打ち切り、別の話題へとすり替えていった。
「おはよう!」
「おはようございます」
「おはようさん」
暫く経ってから、俺は信じ難い光景を目にする事になった。
「はよー……何、キョロキョロしてんの?」
朝の会社。
周りを信じられない気持ちで見回していた俺に、比呂が話し掛けてきた。
「あ…いや、アレってさ…」
「アレって?」
「ほら、皆が着けてるヤツ」
そうして、行き交う会社員のストラップや、キーホルダーを指差すと、比呂は頭に『?』を浮かべる。
「なに言ってんだよ。『おんタワちゃん』だろ?超流行ってんじゃん。ってか、お前だって知ってただろ」
『おんタワちゃん』って………。
名前、あったんだな、あのキャラ……。
温泉とタワシを合体しただけの名前に、脱力する。
ていうか、あんな秘境のゆるキャラ、皆、よく取り寄せられたもんだ。
寧ろ、そっちの方がビックリだ。
最初のコメントを投稿しよう!