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「どこまでそーやって
俺を困らせんの?」
無言のまま、
今にも泣きそうな瞳を
どこまでも冷たく
見下ろしながら、
なぞっていた場所から
湿気を帯びた場所へと
指先を沈める。
「やっと捕まえたと
思ったらまたそーやって
俺から逃げて。
こんなに俺が欲しいくせに
信じようともしない」
「……っあっ……」
ぎゅっと目を閉じ、
壁に頭を預けた奈緒の頬が
一気に紅潮して行く様を
冷静に見下ろしながら
たどり着いたその場所で
指先を折り曲げた。
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